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あさひのよろい

あさひの鎧

国枝 史郎

「時事新報」1934(昭和9)年8月25日~1935(昭和10)年3月16日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 页

青空文庫

――人違いでござろう、聊爾なさるな!」

「ナニ盲人? そんなことはあるまい!」

「盲人が大藪地へはいれるものか!」

「飛天夜叉じゃ、飛天夜叉組じゃ!」

「功名しろ! 討って取れ!」

五人の者どもは口々に喚いて、前後左右から斬りかかった。

鬼火の姥の眷族たちであった。

傍らの槻の木を楯にとり、大竹藪を背後にし、青竹の杖を差しつけたまま、頼春は途方にくれて立った。

飛天夜叉の噂は聞いていた。不思議な女だということである。それに属する眷族のことを、飛天夜叉組と称することも、久しい前から聞いていた。

が、自分はいうまでもなく、飛天夜叉組の者ではない。

それだのに自分を飛天夜叉じゃ、飛天夜叉組の者だといって、討ち取ろうとするこの連中は、いったいどういう者どもなのであろう?

「方々」と頼春は嘆願するように云った。「なんの盲人のこの拙者が、飛天夜叉組などでありましょうぞ。……が、拙者を飛天夜叉組じゃと申して、打ってかかられる貴殿方は?」

「鬼火の姥の一党よ、存じていながら何をいうぞ!」

「こうとり囲んだうえからは、遁がしはせぬ、討ってとる!」

眷族たちは口々に叫んだ。

「ナニおのれらは鬼火の姥の一党? ……フーム、そうか、鬼火の姥の一党!」