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あさひのよろい
あさひの鎧
国枝 史郎
「時事新報」1934(昭和9)年8月25日~1935(昭和10)年3月16日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 页
「彦四郎」
と宮家は仰せられた。
「左源太、右源次の逆意の証拠も、たった今しがた確かめた」
「…………」
彦四郎は無言で一揖し――まだ事情を知っていなかったので――いぶかしそうに宮家を見詰めた。
「そのため不愍にも右源次は、不思議な盲人の杖で突かれ、命を奪われ槻の木の根もとに……」
「え※(感嘆符疑問符、1-8-78)」
「まあ」
と彦四郎と蓬生とは、胆を奪われたように声をあげた。
「大弥太も逆意をあからさまにし、この館へとり詰めるという。……いよいよ十津川を去る期となったぞ」
「御いたわしや、おそれ多や……」
蓬生は声を立てて泣いた。
「叔父様や舅様、せめておいででござりましたら……」
「いやいや」
宮家は微笑さえされ、むしろ朗らかに仰せられた。
「入道や兵衛におられては、気の毒でかえって去りがたい。……それに大弥太や左源太や、定遍坊の手の者や、玉置荘司の家来など、われら駈け散らす所存ならば、九人だけでも事足りる。……が、それは大人気ない。……彦四郎、出かけようぞ」
ふたたび山伏のお姿になられた大塔宮の御袖に縋り、やるまい離れまいと泣きに泣きに泣く、憐れな呉服を気の毒そうに囲み、これも山伏の姿にやつした、四条左少将隆貞や、村上彦四郎ら九人の者が、竹原入道の館の裏木戸に、声なくしばし佇んだのは、それから間もなくのことであっ