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みたびとうほうのへいわをろんず
三たび東方の平和を論ず
大隈 重信
「新日本 第四卷第五號 創刊三周年記念號 臨時増刊」冨山房、1914(大正3)年4月3日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,089 字 · 24 页
日本が更に一指の力を加うれば一溜りもなく潰乱すると思った。それが抑々かの三国干渉の来った有力なる一因である。
支那すでに無力なりとすれば、次いで来るものは勢力範囲画定の問題である。この問題が当時盛んに起ったのであるが、我輩はこれを以て空想なりとして熱心に論難した。勢力範囲とは何ぞや。この語は阿弗利加分割の際に使われた語であるが、阿弗利加はもともと無人の地である。それ故列強が各々手に地図を案じ、何処から何処までが何処の勢力範囲だと定むる事も出来たが、支那はそれと全く事情を異にしている。四千年の歴史を有し、それに相応する四千年の文明を有し、且つほとんど欧州全土を相如く大なる土地を奄有し、四億万の人民が其処に棲息している処である。これを如何にして阿弗利加的に分割する事が出来よう。されども初めあまりに支那を買被った世界は、今度はその反動としてあまり支那を見縊った。即ち時事新報に早く支那分割図の現れたほどで、我が外交の当局者もまた分割的注文を提出した。けれども我輩はかくの如きは謬妄なり空想なりとしてあくまで反対した。支那分割を思う列強は自ら禍するものである。