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なにがわたしをこうさせたか
何が私をこうさせたか
金子 ふみ子
――獄中手記――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 191,571 字 · 383 页
そのつもりで仕度をしなさい」と言ったのは実に、それから四、五日を経た十一日の朝だった。
それで私は一切を諒解した。
私はもう年頃である。余り永く置くと、私を嫁入りさせるために無駄な金がかかる。帰すなら今のうちだ。それには祖母が広島に出かける時がちょうど都合がいい、一緒に連れて行ってやろう、まあ、こういった算段から私を郷里に帰すことを、去年の暮あたりからきめていたのに相違なかったのだ。
だが、郷里にかえすにしても余り身窄らしいなりをしてかえすわけには行かぬ。実家のものや村の人々や私の母が、あの約束の着物はどうしたのか、学校はどうしてくれたのかと不審がるようではこちらの不親切が目立って見える。だから、せめて銘仙の着物一枚でも着せて帰さねばなるまい。そういった気持ちから祖母が私に、私の金で着物を買わせたに相違なかったのだ。
食卓を片づけるとすぐ祖母は私に、私の部屋から、例の行李と着物とを持って来いと命じた。私がそれを持って来ると、私には一切手を触れさせないで、祖母と叔母とが二人して、私の衣類の一枚一枚を展げてみては、ちょうど監獄の差入れ物を検めるように、袂の底を念入りに探ってみたり、襟のあたりをしごいてみたりした。