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なにがわたしをこうさせたか
何が私をこうさせたか
金子 ふみ子
――獄中手記――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 191,571 字 · 383 页
そして、多分私にした自分達の待遇が、かつて祖母が吹聴したものとはまるっきり違っていたことを余りにもはっきりとわからせないように胡魔化すためだったのだろう、余りにひどい筒袖の衣類などははねのけてしまって、どうやら着られそうな物ばかりを入れた。といってもそれは色も褪せ、つぎもつけた、ぐにゃぐにゃの銘仙の袷や瓦斯裏のついた新銘仙の羽織などが一番上等の部に這入る種類のものばかりであった。私が一番好いていたモスリンの単衣はいつの間にか貞ちゃんに贈ってなくなっていたが、その代りに、柄が気に入らんといって私がいた七ヶ年の間ただの一度も自分で着たことのない叔母の伊勢崎銘仙の単衣を一枚入れてくれた。しかも叔母はそれで、大変な恩恵を私に与えてくれたかのように、
「ねえお母さん、自分で子供を生まないってことは考えて見ると随分損ねえ、こうして心配しいしいお金を遣うんだから……」なんて、祖母に言うのだった。
祖母はまた祖母で、私が昔着て来た、もう今となっては役にも立たぬ衣類なんかを行李につめながら、
「なあふみや、お前が昔着て来たモスの羽織は、裾よけに直してこの通りちゃんとお前の見ている前で行李の中に入れたよ。