轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

なにがわたしをこうさせたか

何が私をこうさせたか

金子 ふみ子

――獄中手記――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 191,571 字 · 383 页

青空文庫

父は私をその私立学校に、貧民窟の裏長屋に通わせるようになってから、私に噛んで含めるように言いきかせるのだった。

「ねえッ、いい子だからお前は、あすこのお師匠さんのところへ行ってることをうちに来る小父さんたちに話すんじゃないよ。それが他人に知れるとお父さんが困るんだからね、いいかい」

叔母の店は非常に繁昌したようである。がそれでいて些しも儲けがなかったようである。いや儲けがあったのか知れないけれど、何分父が毎日お酒を呑んだり、はなをひいたりしているのだからうまく行くはずはなかったのだろう。のみならず、父と叔母とはその頃、世間の噂にのぼるようなのぼせ方であったらしい。

それでも叔母の家はまだよかった。困っていたのは私達母と子であった。ある日のことである。私達は何も食べるものがなかった。夕方になっても御飯粒一つなかった。そこで母は、私と弟とをつれて父を訪ねて行った。父はお友達の家にいた。が、母がどんなに父に会いたいと言っても父は出て来なかった。

恐らく母はもう耐えきれなかったのだろう。いきなりその家の縁側から障子をあけて座敷に上った。明るいランプの下に、四、五人の男が車座に座って花札をひいていた。