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なにがわたしをこうさせたか

何が私をこうさせたか

金子 ふみ子

――獄中手記――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 191,571 字 · 383 页

青空文庫

よし江さんは器量もよし、お針も出来るし、その上、家柄もよければ、年恰好も叔父にはちょうどよかった。

叔父は今までしばしば母の家を訪ねていた。それだから、無論よし江さんを知っていた。いや、ただ知っているというくらいではなく、少くともその気持ちの上ではかなり親しい仲にさえなっていた。何でも、よし江さんを通して叔父と知り合いになったよし江さんの学校友達の一人が、叔父に恋文を寄越したとか何とかで、よし江さんとその友達とは遂に仲違いをしたとさえ言われていた。

が、叔父に縁談を持ちかけて来たものは私の祖母たちばかりではなかった。私が叔父の寺に入りびたっていた時分にも、叔父が京都にいたとき知合いになったという、奈良の田舎の坊さんからその娘の婿になってくれという交渉があった。

「その娘は美人なんだがなあ。しかし京都ならいいが、奈良の田舎ではなあ」と叔父はその時私に話したことがあった。

それのみではない。叔父のところにはよく女のところから手紙が来た。すると叔父はそれを、少しも匿そうとはしないで、私に読ませさえした。

私は別に嫉妬を感じるようなことはなかった。私はただ、何もかも知り合った友だちのように、叔父を思っていたのだ。