轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
なにがわたしをこうさせたか
何が私をこうさせたか
金子 ふみ子
――獄中手記――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 191,571 字 · 383 页
私は叔父をつれて病院まわりをした。が、どこへ行ってももう叔父の恢復を保証してくれるところはなかった。
叔父は空しく帰らなければならなかった。私は彼を飯田町駅まで送った。
「さようなら、お大切に」
「ありがとう、しっかり勉強おし」
叔父は自分の命旦夕に迫っているのを知らないのである。けれど私はこれを知っている「これが最後のお訣れだ」こう思うと、やっぱり何だか寂しいような気がした。
汽車が出ると、私は踵をかえした。もうやがて六時すぎでもあったろう。街にあかあかと電灯がついていた。この寂しさを私はどこかで発散させたかった。そして、なぜともなく幾台かの電車をやり通した。
ぼんやりと立って街の灯を瞶めていると、たまらなく男に会いたくなった。もう恋人とはいえぬ男に会いたくなった。そこで私は、近くの自動電話へ駈け込んだ。方々、心あたりへ電話をかけてやっと私は玄のいどころをたしかめた。
「ちょうどいいところでした。僕、話したいことがあるんで会いたかったんです」と玄は、本郷の趙のところへ来てくれと言った。
趙のところへ私は行った。玄は二、三分間前に趙のところに着いていた。