轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
なにがわたしをこうさせたか
何が私をこうさせたか
金子 ふみ子
――獄中手記――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 191,571 字 · 383 页
郵便配達は五日に一度、七日に一度ぐらいしか来なかった。冬などは靴を投げ出しては炬燵にあたり込み、家人とお茶を飲みながら世間話をしたり、他家へ来た端書を、いちいち読んで聴かせたり、写真をあけて見せたりして時をつぶし、時分時には御飯をよばれては悠々と立ち帰るのだった。時たま寺に郵便でもあるときには、庫裡に上り込んで和尚さんのザル碁の相手になっては日の暮れるのをも忘れることもあった。
さていよいよ学校であるが、学校は鴨沢と呼ぶ小さな町のはずれにあった。尋常科だけで、児童は六、七十ぐらいはあったろう。お師匠さんの学校以来初めて見た不備な学校であったが、先生というのは大酒呑みでひどく乱暴な男だった。
小袖からは淋しい山道を一里ばかりも離れていたが、冬になると雪がひどいので、男の子も女の子も竹の皮で拵えた靴見たいな物を履いて、手拭ですっぽりと頬冠りをして、毎日毎日同じ道を往復するのだった。
わずかではあるが、筆とか、紙とか、墨とかがやはり必要だった。けれど部落には現金というものは一つもない。そこでそれらの必要品のある時には、子供らは自家製の炭俵を一、二俵背中に背負って、朝登校がてらに、学校のすぐ隣の店まで運んで行くのだった。