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なにがわたしをこうさせたか

何が私をこうさせたか

金子 ふみ子

――獄中手記――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 191,571 字 · 383 页

青空文庫

これが嘘も偽りもない事実なのである。

早春のある日、私の家には子供が生れた。小林の家のお婆さんは大喜びだった。そして春生れたというので「春子」と名をつけ、初児のお祝いをした。

五、六俵の炭が馬の背に載せられた。馬は馬子と一緒に五、六里離れた街を指して行った。帰りには米や煮乾や着替やが炭に変ってちょんぼり馬の背にあった。それが初児の誕生祝いであった。でも春子は丈夫に育った。

三月の終りになって私はまた終業式に出ることになった。いつもいつも辱しめられる終業式に。でも今年は何らの苦痛もなかった。なぜなら、教師が私達にたとい無籍者でも田舎のことであるからほかの子と同様に免状を下げてくれると言ってくれたからである。

母はその日のために苦しい中から工面して木綿の縞の筒袖と、対の羽織とをつくってくれた。私はそれを着せてもらって、みんなと一緒に、喜び躍りながら学校に行った。

型ばかりの寂しい式が始まった。みんなは免状をもらってニコニコしていた。けれど私にだけは、教師の約束があったのにもかかわらずくれなかった。今か今かと最後まで私は待った。そしてとうとう待ちぼうけであるのを発見した。