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なにがわたしをこうさせたか
何が私をこうさせたか
金子 ふみ子
――獄中手記――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 191,571 字 · 383 页
私にわかったのは、年賀状を見てすぐにもとんで来たかったのだが――そこは女でも二日とはかからぬ所なので――雪が深くて三度も途中から引き返し、雪の解けるのを待ってやっとのことでやって来たのだということと、叔父が来たのは母を実家へ連れ帰すためだったということとであった。
小林が仕事場から帰って来る。すぐ談判が始まる。小林の父も母も、近しい親戚も、寄って来る。
随分長い談判の結果、母は帰ってもいいが、乳呑児をどうするということに悶着が起きた。
小林の老母は母に詰め寄って詰った。
「こんなことになるのならどうしてもう少し早く言ってくれなかったんだい。そう言ってくれればくれるで何とかするのだったのに……」
何とかする? それは何を意味するのか、最初のほどは私にはわからなかった。けれど私にも次第にそれがわかってきた。
母は言った。
「わしも気はついていたにはいたのだけれど、でも可哀相で……」
母のこの言葉で私は一つ思い出したことがあった。それは隣村に片づいている西隣の家の娘と母との談話から知り得た一つの知識である。
「大きな声じゃ言えんがね、それは造作なくやれるんだよ」