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ちきゅうはっきょうじけん

地球発狂事件

海野 十三

「協力新聞」1945(昭和20)年9月1日~1946(昭和21)年(終号未詳)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 86,306 字 · 173 页

青空文庫

映写幕面の上に、例の一人の怪人がやはりじっとこっちを睨んでいる。その奇妙醜怪な顔――エミリーはそれを覗いた瞬間、はげしい嘔吐を催した。水戸が愕いて、身体の向きを横にかえると、彼女を抱えてやった。

エミリーは水戸にしがみついて、歯をぎりぎりいわせた。

――停れ。停れ。

怪人が信号を出した。それはこれまでにない明瞭な強力な信号だった。

ワーナー博士はエンジン停止を命じた。

「目標への距離三百八十……」

航海士が叫んだ。

今や怪人城塞とウラル号とは、約三百メートルの間隔をおいて相対峠しているのだ。

――承知した。われは停止した。

アンダーソン教授が応答した。

――何を尋ねるのか。

怪人が訊いて来た。

――貴下達は何の目的あって、地球へ来られたのか。われら地球人類は、極力貴下達の希望に応ずる用意がある。

この返事は、遺憾なことにその意味が怪人に通じないらしかった。こっちからは、それを繰返し信号した。

――分らない。

怪人は、そう返事して来た。

博士と教授とは顔を見合わせた。短い協議の結果、新たな信号が相手に向って発せられた。

――貴下達はそこで何をしているのか。