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だいうちゅうえんせいたい

大宇宙遠征隊

海野 十三

「国民五年生」1941(昭和16)年4月号~(終号未詳)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 53,967 字 · 109 页

青空文庫

「あ、あれは……」

木曾は、その場にふるえあがった。

怪物がいるのだ。

大砲岩の下から、日なたへよじのぼってきた四つ五つばかりの影――それは後から見ると、ござをかぶった人間のような形に見えたが、正面を向いたところを見ると人間ではなかった。ちょうど、甲虫とペンギン鳥の合いの子をお化けにしたような異様な姿の生物であった。

「あれは何だろう」

「すごい化け物だ。月世界の生物だ」

「月世界には、生物はいないはずだが……」

「だって、あの怪物は、ちゃんとぼくたちの眼に見えているんだぜ。夢をみているわけじゃない。あれは鳥の化け物だろうか、それとも甲虫の化け物だろうか」

「どっちだか、わからない。おや、あの怪物は、手に缶詰をもっているじゃないか」

三郎が、また重大発見をした。

なるほど、化け鳥か化け甲虫かのその怪物は、ゴムでこしらえたむちのような手に、赤い缶を持っているのだった。見ているうちに、その怪物は日なたに出ると、並んで岩の上にこしをおろした。穴からはい出して日なたぼっこをはじめたようにみうけられた。

「おやおや、あれをごらんよ」

三郎が、さけんだ。

ふしぎなことを、その怪物ははじめた。