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わらわのはんせいがい

妾の半生涯

福田 英子

「妾の半生涯」東京堂、1904(明治37)年10月25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 64,051 字 · 122 页

青空文庫

依りて初犯者をば改化遷善の道に赴かしむるよう誘導の労を執り、また未成年者には読書習字を教えなどして、獄中ながらこれらの者より先生先生と敬われつつ、未決中無事に三年を打ち過ぎしほどなれば、その間随分種々の罪人に遇いしが、その罪人の中にはまたかかる好人物もあるなり、かかる処にてかかる看板を附けおらざりせば、誰かはこれをさるものと思うべき。世にはこれよりも更に大なる悪、大なる罪を犯しながら白昼大手を振りて、大道を濶歩する者も多かるに、大を遺れて小を拾う、何たる片手落ちの処置ぞやなど感ぜし事も数なりき。穴賢、この感情は、一度入獄の苦を嘗めし人ならでは語るに足らず、語るも耳を掩わんのみ。かくて妾は世の人より大罪人大悪人と呼ばるる無頼の婦女子と室を同じうし、起臥飲食を共にして、ある時はその親ともなり、ある時はその友ともなりて互いに睦み合うほどに、彼らの妾を敬慕すること、かのいわゆる娑婆における学校教師と子弟との情は物かは、倶にこの小天地に落ちぬるちょう同情同感の力もて、能く相一致せる真情は、これを肉身に求めてなお得がたき思いなりき。かかるほどに、獄中常に自ずからの春ありて、靄然たる和気の立ち籠めし翌年四、五月の頃と覚ゆ、ある日看守は例の如く監倉の鍵を鳴らして来り、それ新入があるぞといいつつ、一人の垢染みたる二十五、