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わらわのはんせいがい
妾の半生涯
福田 英子
「妾の半生涯」東京堂、1904(明治37)年10月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 64,051 字 · 122 页
れたく、即ち表面上尊姉より贈られたるものとして、聊か自分の面目を施したしという。妾は当時の川上が性行を諒知し居たるを以て、まさかに新駒や家橘の輩に引幕を贈ると同一には視らるることもあるまじとて、その事を諾いしに、この事を聞きたる同地の有志家連は、身自由平等を主張なしながら、いまだ階級思想を打破し得ざりしと見え、忽ち妾に反対して頗る穏やかならぬ形勢ありければ、余儀なくその意を川上に洩らして署名を謝絶しけるに、彼は激昂して穏やかならぬ書翰を残し、即日岡山を立ち去りぬ。しかるにその翌二十三年かあるいは四年の頃と覚ゆ、妾も東上して本郷切り通しを通行の際、ふと川上一座と襟に染めぬきたる印半天を着せる者に逢い、思わずその人を熟視せしに、これぞ外ならぬ川上にして、彼も大いに驚きたるものの如く、一別以来の挨拶振りも、前年の悪感情を抱きたる様子なく、今度浅草鳥越において興業することに決し、御覧の如く一座の者と共に広告に奔走せるなり、前年と違いよほど苦辛を重ねたれば少しは技術も進歩せりと思う、江藤新平を演ずるはずなれば、是非御家族を伴い御来観ありたしという。数日を経て果して案内状を送り来りければ、両親および学生友人を誘いて見物せしに、なるほど一座の進歩驚くばかりなり、前年半ばは有志半ばは俳優なりし彼は終に爾く純然たる新俳優