轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

やまびこおとめ

山彦乙女

山本 周五郎

「夕刊朝日新聞」1951(昭和26)年6月18日~9月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 126,360 字 · 251 页

青空文庫

「ねえ、そうでしょう、わたくしの云うこと、そんなに違いはしないでしょ」

「そんなところでしょうね」

半之助は多少たじたじのかたちで、しかし好便に口をにごした。

「大名の若殿でもなし、大身の子でもないけれど、遁世して来たということは、貴女の推察どおりです」

「それでたくさん、もうなにも仰しゃらないで」

花世は深い溜息をつき、溶けるような眼で、じっと温たかく、半之助をみつめた。それは、両手で力いっぱい抱き緊める代りに、眼でかき抱く、といったような感じの、まなざしであった。

「いつまでも此処にいらっしゃるといいわ」彼女は云った、「春も夏も秋も、冬は、そうね、冬はちょっと困るけれど、此処は一年じゅう美しいし、珍しいことや楽しいことがたくさんあるわ、そして、いつまでも、いつまでも乙女が付いていて、お世話をしてあげますわ」

「それができれば有難いが」

半之助はこう云いながら、立って、湯沸しを取って来て、二人の椀に湯を注いだ。

「しかし、この土地の人たちは、よそから来た者を、住まわせては呉れないのでしょう」

「いいえ、乙女が付いていれば大丈夫、あたしが付いていさえすれば、誰だって、決して、あなたに指を触れることもできやしないわ、決してよ」