轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
かげおとこ
影男
江戸川 乱歩
「面白倶楽部」1955(昭和30)年1月号~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 154,133 字 · 310 页
「建築事務所へどなりこんでやったが、先方はあやまるばかりで、技師は、そんなものが人道へ落ちるはずがない、おかしい、おかしいと首をかしげているばかりさ」
さっそく、医者に見てもらったが、心配したほどのこともなく、十日もすれば直るだろうといって、手当をしてくれた。でも、しばらくはくつもはけず、ぞうりばきで、びっこを引いて歩かなければならなかった。
そのびっこが直らないうちに、かれはまた外出した。ちょっと足ならしに散歩するつもりのが、つい遠くまで行ってしまった。見なれない大通りだった。ステッキにすがってゆっくり歩いていると、向こうから一台の自動車が走ってきた。あまり交通のはげしくない通りなので、おそろしいスピードを出している。
アッと思うまに、もう目の前に近づいていた。瞬間のできごとだったが、左へよければ先方も左へ、右によければ先方も右へ、こちらの逃げるほうへ迫ってくるように思われ、道のまんなかでドギマギしたが、とっさに心をきめて、相手にかまわず、一方へ駆けだした。足の痛みも忘れて走った。しかし、傷ついた足は、やはり思うままにならず、パッとステッキが飛んで、かれのからだはアスファルトをたたきつけるようにころがっていた。