轻松读懂日语经典作品
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かげおとこ
影男
江戸川 乱歩
「面白倶楽部」1955(昭和30)年1月号~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 154,133 字 · 310 页
主人は、今もいうとおり変わりものじゃから、書斎へはいったら、飯も食わんで、一日じゅう閉じこもっていることがよくある。そこで、わしもきのう一日はほうっておいたが、けさになっても出てこん。十時になっても、十一時になっても出てこん。これはどうも変だと思ったので、書斎の裏の窓にはしごをかけてのぞいてみた。すると、どうじゃ、主人はじゅうたんの上にぶっ倒れている。うつぶせに倒れているんじゃが、その顔に血が流れている様子じゃ。いつまで見ていても、身動きもせん、死んでいますのじゃ。
わしは書斎の中へはいって確かめようと思った。ところが、入り口のドアに中からカギがかかっている。がんじょうな戸じゃから、ぶちやぶることもでけん。窓はたった一つしかなくて、それには鉄ごうしがはまっている。わしの力ではどうにもなりませんのじゃ。急いで見に来てください」
じいさんの説明を聞くと、交番の警官も、もう疑わなかった。すぐに電話で本署に連絡しておいて、じいさんといっしょに現場に駆けつける。少しおくれて、所轄警察の署長みずから数名の係官をつれて、自動車でやって来た。
広い庭の林のような木立ちにかこまれて、古風なレンガ建てがぽつんと立っていた。