轻松读懂日语经典作品
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かげおとこ
影男
江戸川 乱歩
「面白倶楽部」1955(昭和30)年1月号~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 154,133 字 · 310 页
両側に商家のある町が、いつまでもつづいていた。かわいい男の子がおとうさんの自転車のおしりにのせてもらって、おとうさんの大きな腰にしがみについて、楽しそうに通りすぎていった。学校帰りの女の子がおおぜいつながって、電車通りを横切っていった。先に立ってうしろ向きに歩いているのは、やさしそうな男の先生だった。意地のわるそうな大きな子がいた。キャッキャと笑っている子がいた。ひとり列をはなれてしょんぼり歩いている子もいた。
一時間も歩いていると、町がだんだん寂しくなってきた。さち子には珍しいわらぶきの家もあった。原っぱがつづいたり、お社の森があったりした。町の家並みのうしろに、畑が見えてきた。一軒のわらぶきの家では、タバコや、荒物や、菓子を売っていた。菓子を入れた箱のガラスのふたに、白くほこりがつもっていた。やさしそうなおばあさんが、店先で居眠りをしていた。
道のそばを小川が流れていた。いなかの子どもたちが、網でさかなをすくって遊んでいた。小さなバケツが置いてあるので、のぞいてみると、メダカみたいなかわいらしいさかなが二、三匹、チロチロ泳いでいた。子どもたちは、みんな意地わるでなさそうに見えた。