轻松读懂日语经典作品
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かげおとこ
影男
江戸川 乱歩
「面白倶楽部」1955(昭和30)年1月号~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 154,133 字 · 310 页
さち子は両手で顔をおおって、息もできなくなって、その場にしゃがんでしまったが、やがて風がやんだので、目をひらいてみると、原っぱの二十メートルほどの近さに、ヘリコプターが降りていた。そして、ガラスのへやからひとりの妙な男の人が降りてくるのが見えた。
ほんとうに夢のようであった。さっきの土ぼこりで目をとじているうちに、世界が一変したかと思われた。ガラスの中から降りてきたのは、学校の掛け図で見た西洋の大昔の武人のような、からだにまきつく大きなマントを着て、たてがみのような羽根のはえた鉄かぶとをかぶり、長い剣をさげ、丸い楯を持っていた。そのこわい武人が、ノッシノッシとこちらへ近づいてくるのだ。
さち子は思わず逃げ出したが、おとなの足にかなうものではない。たちまち追いつかれてしまった。
「きみは大曾根さち子だろう。こわがることはない。空の神様からお迎いに来たのだ。空にはきみのしあわせが待っている。さあ、こちらへ来なさい」
無我夢中で、こわい武人に手を引かれてヘリコプターに近づき、大きなガラスのようにすき通ったへやへ抱きあげられた。そこに美しい女の人が腰かけていた。