轻松读懂日语经典作品
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かげおとこ
影男
江戸川 乱歩
「面白倶楽部」1955(昭和30)年1月号~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 154,133 字 · 310 页
小説の材料にお使いくださってもかまわないのです。実に奇々怪々、さすがのあなたもアッと驚くようなことがらです。
もし面会をお許しくださるならば、この手紙と同じ局留め置きで、日時と、あなたのほうの電話番号をお知らせください。場所は電話でお打ち合わせします。
局留置 須原 正
佐川春泥様
そんな手紙が、半月ほどのうちに、総計十通に及んだ。影男の春泥は、この執拗さに興味を持った。読者からの手紙は多いけれども、こういう性格的なのは少なかった。つい「どんなやつか一度会ってみよう」という気持ちになった。
先方のいうとおり、日時と電話番号だけ書いて、局留め置きにしておくと、その日のその時間に、正確に電話がかかってきた。そのとき、影男は速水荘吉の名で、麹町のあるアパートにいた。
「ぼく、佐川春泥です。お会いしてもいいが、場所はどこにします?」
「銀座裏にルコックという小さな暗いバーがあります。そこにちょっと仕切りをした、別室のようになったへやがあるのです。時間はきょうの九時としましょう。九時といえば、バーのにぎわうさいちゅうですが、かえってそのほうが安全なのです」
「承知しました。