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ふくいんさつじんじけん
復員殺人事件
「座談 第三巻第六号~第七号、第四巻第一号~第三号」1949(昭和24)年8月1日~9月1日、1950(昭和25)年1月1日~3月1日(未完)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,621 字 · 195 页
「親指を痛めたぐらいで犯人にきめられて、たまるかい。別に隠す気はなくとも、めぐり合せで、隠しているように見えたかも知れん。人生に、暗合は多いものだ。そのようなことにコセコセするから、女子と小人は養いがたし、というのだ」
こうきめつけられては、この問題も、これ以上はつづけられない。大矢主任は、何事も逆らわぬ主義、自然の中から何かを汲みとろうとしているようだ。
彼はアッサリ話題を変えた。
「や、どうも、まったく、警察官はくだらぬ小事にコセコセと、まことにお聞きづらいことでしょう。しかし、我々といたしましては、こうして人にイヤがられながら一つ一つ追求して行かないと、結論へ辿りつくことができませんので、もう少々、御カンベンねがいます。先日の家宅捜査では見当りませんでしたが、倉田さんは、ピストルを所持しておられたそうですね」
「フン。ピストル」
由之は不興げに目をむいた。
「洋行帰りの誰かから貰ってな。二十年も昔の話だ。ワシはピストルなどは要らん男だ。くれたから、もらってやったが、どこかへ抛りこんで、二十年間、思いだしたこともない」
「ヤ、それは分っております。けっして倉田さんを疑っているのではありません。