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ふくいんさつじんじけん
復員殺人事件
「座談 第三巻第六号~第七号、第四巻第一号~第三号」1949(昭和24)年8月1日~9月1日、1950(昭和25)年1月1日~3月1日(未完)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,621 字 · 195 页
今まで我々が催眠薬について知っていたのは、それだけでした。明日にでも、正確な回答をとりにやりましょう。忙しいから、一週間もしたら、ききにこい、とね。こッちを田舎の警察と見てバカにしきっていますよ。どうも学者さんの官僚臭は苦手です」
八雲医師も言いたいことを言ってしまってホッとしたらしく、それからは雑談の花がさいて、我々は時を忘れた。
しかし、私の不馴れな頭は、この重大な暗示に大いに迷った。巨勢博士も、どうやら、考えこんでいるようである。
私自身は、倉田由之と由子には殆ど容疑を向けていなかったので、意外であった。私は催眠薬でねむっているのを起されて取調べをうけた時の由之の傲慢非情のフテブテしさを思いだす。それは実に憎たらしく不快きわまるものであったが、このセンサイな、キメの細い事件とは、どことなく肌がちがう。その感じが、私に彼をこの容疑から遠ざけているのである。私はむしろ、あの一味で疑うとすれば、滝沢三次郎であった。しかしこれは当夜は家に居らず、とりつく島がない。
私は巨勢博士にそッとささやいた。
「八雲さんの暗示によれば、一番小量をのんだ由子がクサイというわけかね」