轻松读懂日语经典作品
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はくはつき
白髪鬼
江戸川 乱歩
「冨士」大日本雄弁会講談社、1931(昭和6)年4月~1932(昭和7)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,046 字 · 224 页
わしはそうして姦夫川村と話しながら、同じ談話室の向うの椅子に、誰かと話し込んでいる一人の人物を、目の隅で捕えていた。何という幸運だろう。わしは少しも労せずして、川村に逢い、今又この人物を発見するとは。
「川村さん、あの向うの椅子に前こごみになって話し込んでいられる紳士は、どなたでしょう。わしは何だか、あの横顔に幽かな見覚がある様に思うのですが」
わしは川村の顔色を注意しながら、尋ねて見た。すると案の定、彼はいやな顔をして、
「あれは、住田という医学士です、近頃Y温泉の方から町へ出て開業している男です」
と不承不精に答えた。
「アア、お医者さんですか、それに住田という名前は記憶にありません。人違いです」
口ではそう云いながら、わしはこの住田医学士に近づき度くてウズウズしていた。それには川村がいては邪魔になる。こいつには、土産の宝石を持たせて、早く追帰すに如くはないと考えついたので、わしは川村をわしの部屋へ誘い出し、用意の小凾に納めた宝石を手渡しした。
「拝見しても差支ありませんか」
すると、川村奴目を光らせて尋ねるのだ。
「いいですとも、どうかごらん下さい。