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あさくさふどき

浅草風土記

久保田 万太郎

線上閱讀久保田 万太郎《浅草風土記(あさくさふどき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 162,294 字 · 318 頁

青空文庫

とにかくその時分、公立の、正目のただしい学校といえば馬道まで行かなければならなかったのです。――しかし馬道というと、雷門のさきで、道程にしてざっと十丁ほどあります。そのあたりからでは一寸億劫です。――それに、その界隈の親たちにすると、両方のけじめが全く分らず、近所にあるものを、何も、遠くまで通わせるものはないという具合で、大抵どこのうちでも、子供をこの小川に通わせました。――だからその居廻りのうちの、いまの若い主人は、そろって皆小川学校の出身です。

なかには、途中でそこをよして、高等科ぐらいから馬道の学校にうつるような向きも後になっては出来ましたが、しかしそうすると、下の級に入れられて、一年損をしなければなりませんでした。それに、代用の気の置けないところが、通う当人より親たちの気に入っていたもので、そのわりに転校は流行りませんでした。

その間で、わたしは、はじめから小川の厄介にならず馬道の学校に入りましたが、何かあるたびにありようは、代用のみるから自由らしいところを羨やましいと思いました。そのくせ市立と私立と、国音相通ずるところが気に入らなかったのですが、うちへ帰ると、友だちは、みんな、小川へ行っているものばかりです。