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あさくさふどき

浅草風土記

久保田 万太郎

線上閱讀久保田 万太郎《浅草風土記(あさくさふどき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 162,294 字 · 318 頁

青空文庫

相模屋の路次・浅倉屋の路次

剣舞の隣、いまの三友館のところは、開進館という勧工場だった。その前っ角、今の千代田館のところには、屋根の低い、小さな写真屋があった。その写真屋のまえに、七十がらみの、あたまに小さな髷をのせた爺さんが、始終、あやめ団子を焼いて売っていた。――わたしはその爺さんの有数の顧客だった。

あやめ団子というもの、いまではどこの縁日へ行ってもみ当らなくなった。

(大正九年)

相模屋の路次・浅倉屋の路次

*

広小路から公園に入るみちが二つある。

一つは相模屋の路次。

一つは浅倉屋の路次。

*

その相模屋の路次、十四五年まえまでは、さびしい、色の褪めたような路次だった。

入ると、すぐ、左っ側に、おもてに粗い格子戸を入れた左官屋があった。その隣に喜久本というごく堅気な待合があった。反対の側には、和倉の名によって呼ばれる湯屋があり、隣に煙草屋を兼ねた貸本屋があった。

そこで、一段、みちが低くなった。

あとは、両側とも、屋根の低い長屋つづき、縫箔屋だの、仕立屋だの、床屋だの、道具屋だの、駄菓子屋だの、炭屋だの、米屋だの、あんまり口数をきかない、世帯じみた人たちばかりが、何のたのしみもなさそうに住んでいた。