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あさくさふどき
浅草風土記
久保田 万太郎
線上閱讀久保田 万太郎《浅草風土記(あさくさふどき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 162,294 字 · 318 頁
二
――それは北風の身を切るような夕方で、暗くなりそめた中に、どこにももう燈火がちらちらしているのである。――眼を上げると、そこに、本願寺の破風が暮残ったあかるい空を遠く涙ぐましくくぎっているのである……
二
……広小路は、両側に、合せて六つの横町と二つの大きな露地とを持っている。本願寺のほうからかぞえて、右のほうに、源水横町、これという名をもたない横町、大風呂横町、松田の横町、左のほうに、でんぼん横町、ちんやの横町、――二つの大きな露地とは「でんぼん横町」の手前のさがみやの露地と、浅倉屋の露地とをさすのである。――即ち「さがみやの露地」は、「源水横町」に、「浅倉屋の露地」は、「名をもたない横町」に、広い往還をへだててそれぞれ向い合っているのである。
が、「源水横町」だの「名のない横町」だの「大風呂横町」だの「松田の横町」だの「でんぼん横町」だの、それらはすべてわたしの子供の時分には……すくなくもまだわたしの田原町にいた時分まではだれもそう呼んでいたのである。――嘗てそこに松井源水が住んでいたというのをもって源水横町、その横町が「大風呂」という浴場をもっていたのをもって大風呂横町、その右かどに料理店の「松田」