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しほんたいへいき

私本太平記(四)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(四)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 229,324 字 · 458 頁

青空文庫

「会えんのか。高氏どのへは」

「が。せっかくお越しの佐々木殿へは、身に代って、心からなおもてなしをして進ぜよ。重々な失礼はひらにおゆるしを仰いでと……まずは御意にござりましてな」

「やめよ。もてなしをうけに来たのではない」

「ごもっとも」

と、黒地に蔦つなぎを白抜きした狩衣はその背を初めて客と対等にして、でんと太鼓腹の恰幅を向けてみせた。

「おもてなしとは、つまり主人高氏に代り、何なと、おはなし相手を仕れとのおいいつけで、決して、さもしき意味で申したわけではおざりません」

「そちは当家の何をしておる者か」

「申しおくれました。――足利ノ庄の国元にいて、久しく留守の家職(国家老)を勤めおりまする高ノ武蔵守師直と申すもの。以後、お見知りおき下されましょう」

「高家か。ふウむ……」

高ノ党といえば、ちょっとした名族である。祖は山階家から出ており、三河、武蔵、下野あたりに、子孫は分布されている。

「その国家老の師直が、いまは当所へまいっておるのか」

「いえいえ。この歳末とて、藩用のために、ちょうど、お国元より出て来ておりました者で」

「大蔵には人も多かろうに、なんで高氏どのには、さような田舎勤めの家臣を、わしの応対に突ン出されしか」