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ちけむりてんめいじん

血煙天明陣

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《血煙天明陣(ちけむりてんめいじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 191,184 字 · 379 頁

青空文庫

その人の波を分けながら、白須源吾は冬次郎たちから分れ、貝十郎に逢おうものと、あてなしに探し泳いでいた。

でもとうとう探しあてた。

「十二神様」と言葉せわしくいった。「冬次郎様、戸ヶ崎氏、暴徒に雑りおりまする。わたくし後つけ話しききましたところ、今回のうちこわしの元兇こそ、冬次郎様にござりますよし。それにこれよりこの暴徒を、田沼様下屋敷へ徐々に導き……」

「ナニ※(感嘆符疑問符、1-8-78)」と貝十郎は声をはずませた。「この暴徒を田沼様の?」

「はい、稲荷堀の下屋敷へ導き、破壊させます計画とのこと!」

「一大事!」と貝十郎は呻った。

「それこそ田沼様不面目! いや個人の面目でない! 老中としての不面目! いや中央に政とるものの……閣老一体の不面目じゃ! ……やらせてなろうか、白須氏ござれ!」

いう間ももどかしく貝十郎、群衆を掻き分け刎ね退け蹴退け、稲荷堀の方へ走り出した。

稲荷堀の田沼の下屋敷。――

その宏大な屋敷の外の、土塀に沿って先刻から、二人の人影が動いていた。

臼杵九十郎とお浦とであった。

(田沼様に直々逢い、お浦をかせに強談し、ふたたび禄をいただくか。