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はたもとたいくつおとこ

旗本退屈男

佐々木 味津三

線上閱讀佐々木 味津三《旗本退屈男(はたもとたいくつおとこ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 240,656 字 · 478 頁

青空文庫

さそくに案内せい」

だが、誘なっていったその千種屋が、番頭の言葉だとあまり上等ではなかろうと思われたのに、どうしてなかなか容易ならぬ上宿なのです。しかもそこの帳場に居合わした女将なるものがまた穏かでない。年の頃は二十五六。顔から肩、肩から手、身につけている帯紐までがしいんと透き通るような寂しさを湛えて、つつましやかに乳房をのぞかせながら、二つ位のみどり児に愛の露を含ませている容子が、清楚な美しさと言うよりも、変に冷たく冴え冴えとして、むしろ不気味な位でした。いやそればかりではなく、退屈男を番頭が案内していったのを見眺めると、ちらりと冷たく目元に不安げな色を浮べて、何か物に脅えでもしたかのごとくに眉を寄せました。

だのに番頭がまた奇怪でした。

「大事ない。大事ない。心配するな」

すぐに応じて言った言葉の横柄さ、ぞんざいなところは、番頭と思いのほかにどうやら主人らしくもあるのです。――退屈男の不審はぐっと高まりました。

他国者の武家ばかりをきびしく吟味すると言う不審。

よその宿はみな恐れをなしているのに、この千種屋ばかりは好んで客とした不審。

いざなっていった男が只の客引きかと思われたのに、亭主らしい不審。