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あさくさふどき
浅草風土記
久保田 万太郎
線上閱讀久保田 万太郎《浅草風土記(あさくさふどき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 162,294 字 · 318 頁
の繁栄の、むかしをいまにするよしもなくなったのは、ひとえに「時代」の好みのそれだけ曲折に富んで来た所以である。――「梅林堂」の看板娘おくめさんの赤いたすきこそ、いまやついに完全な「伝説」になり了った。
「武蔵屋」の、震災後、いままでのいうところの「ぜいたくや」を止め、凡常な、張子の鎧かぶとを軒にぶら下げ、ブリキの汽車や電車をならべ、セルロイドの人形やおしゃぶりをうず高く積みあげた、それこそ隣にも、そのまた隣にも見出せるような玩具屋になり了ったことは、わたしに再び、「仲見世」の石だたみの上にふる糸のような春雨の音を聞く能わざらしめた感がある。わたしは限りなく寂しい。そこで出来る雛道具こそ榎のかげにくろい塀をめぐらした「万梅」とともに「古い浅草」を象徴するものだった。箪笥、長持、長火鉢のたぐいから笊、みそこし、十能、それこそすり鉢、すり粉木の末にいたる台所道具一切の製品、それは「もちあそび」とはいえない繊細さ精妙さをもつものだった。しかも其繊細さ精妙さの内に「もちあそび」といってしまえない「生命感」が宿っていた。堅実な沁々した「生命感」が潜んでいた。――しかも、うちみのしずかに、さりげないこと、水の如きものがあった……