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あさくさふどき

浅草風土記

久保田 万太郎

線上閱讀久保田 万太郎《浅草風土記(あさくさふどき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 162,294 字 · 318 頁

青空文庫

五

のを、昨日のことのようにしかわたしは思わない”

といったていたらくの、

“後に、そのならびに出来た洋食屋の「比良恵軒」、九尺間口の、寄席の下の洋食屋同然に汚かったその店は、中学の制服を着立てのわたしに、「カツ」だの「テキ」だの「カレエ」だのと称するものの……”

読者諸兄姉……

「カツ・テキ・ハヤシ……」のしまいを、ぼくは、“ところで、さて、仲見世の「天勇」の横町……比良恵軒のあったその横町は、いま、果して、どうなっているか?……「比良恵軒」は、どうしたか、である……”というセリフで結んだが、以上のようなしだいで、いま、果して、どうなっているかもへッたくれもない、みごと、“新仲見世”の奔流の中にまきこまれて、比良恵軒のあったあとなんぞ、洋品屋になったか、鞄屋になったか、アクセサリー屋になったか、てんで見当もつかない……

それにしても、“新仲見世”というところ、何んと、目もあやに、洋品屋、鞄屋、アクセサリー屋のはんらんしていることよ……

五

大正九年の七月、ぼくは、「中央公論」に、「浅草の喰べもの」という随筆を書いて、広小路界隈、仲見世界隈、公園界隈の、料理屋を七けん、鳥屋を五けん、鰻屋を三げん、天麩羅屋を五けん、牛屋を六けん、鮨屋を五けん、蕎麦屋を五けん、汁粉屋を三げん、洋食屋を六けん、支那料理屋を一けん、めぼしい