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しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(四)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 229,324 字 · 458 頁
装備、食糧、運輸、そんな兵力がうごかせようはずもなし、またついきのうまでは、
正成死せり
と世上にいわせて、身をひそめていた彼なのだ。
いかに、彼にたましいの光があり、錦の旗があったにしろ、すでに関東の大兵が山野をうずめ、それも新朝廷をいただいて、逆に楠木をさして、
賊軍
と呼んでさえいるのである。どうして畿内の武士があげて正成の麾下にあつまるだろうか。よしまた摂河泉すべての守護地頭が、幕府に寝返りを打って彼に協力したとしても、とるにたらない数で、しょせん、何万という兵にはならない。
かりに、もっと譲って。
正成がそれほど兵力を持ち、そして、数十の“連珠式大要塞”の構想をじッさいに配置していたとしたら。……これはおかしい。遠征の関東五、六万騎などは、随所で粉砕していなければならないし、からくも千早一城をささえたなどは、特にたいしたことではなくなる。つまりはひいきのひき仆しというものだろう。
とまれ、是非の論はいらないのである。論をなしたい人は、秋でもいい、春でもいい。金剛の細道を幾うねり登ッて、今日でもあまり山容の変っていない千早の古塁に立ってみればすぐうなずかれるにちがいない。