輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(四)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 229,324 字 · 458 頁
ぷつんといって、右馬介は急に口をとじた。
けれど盲の直感には、まっ暗な秘密の淵が、右馬介のことばの先にある気がされた。――それは訊いてもよくないことだろうし、あきらかに教えもしまい。――そう得心したように覚一もまた黙った。
遠くの持仏堂から洩れていたすずやかな朝のおつとめの声がやむと、まもなく草心尼もここへ姿をみせ、藤夜叉への手紙を、右馬介の手へ託した。
「きっとお預かりいたしました」
と右馬介は、それを肌におさめてから、
「では、ごきげんよろしゅう。いずれ夏ともならぬうち、またかならずお目にかかれましょう」
と、まもなく、羅刹谷を早い足で降りて行った。
右馬介は、ひとまず七条魚ノ棚へ急いで帰った。
洛内の民家はあらかた軍に徴用されて“赤松焼き”と人の呼ぶ焼け跡だらけであり、無事な繁昌をみせている辻はおおむねが売女の巣か、軍の食糧調達所と化している市場か、さもなければ、右馬介が隠れ家を置いている職人町のごとき一劃に過ぎなかった。
鍛冶、弓師、馬具師のたぐいが黒い軒を接しあい、もうもうと煙のなかに住む矢ジリ鍛冶の小屋だけでも何十軒という数だった。そして始終、六波羅武士がやって来ては、諸職のものを督促したり、また、ばか話をしちらしていた。