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ちけむりてんめいじん

血煙天明陣

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《血煙天明陣(ちけむりてんめいじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 191,184 字 · 379 頁

青空文庫

とな。……こういう触書じゃ」

「…………」

貝十郎は眼を見張った。

が、何んともいわなかった。

「彼奴らだけは徹底的に弾圧せねばならぬ。なぜかといえば煽動家だからの。……百姓は元来凄じきものなりと、田中丘隅はいったかもしれぬが、わしからいわせると日本の百姓は、元来穏しいものなのじゃ。ただ煽動家が現われて、こいつを煽動した時だけ、兇暴性を発揮する。とこんなように思うのだがな」

香の煙りは天井に近い宙で、乱れ綾を織り紋を描いていた。

が、やがて消えてしまった。

しかし余燻は部屋に残り、清々しく暖かかった。

「だから煽動家浪人どもは、どうあろうと弾圧し狩り取らねばならぬ。……彼奴らにも無理のないところはある。第一彼奴らには学問がある、一度は上層にいた経験もある。その時代のことが忘れられないで不平と不満とが、心を一杯に充たしている。したがって乱を思うのじゃな」

「何んとか救済いたしませねば……」

「それがない、救済の法が」

「慶安の頃、熊沢蕃山先生が……」

「説いた、救済説を、わしも読んだ、有名な『大学或問』であろう。が、あれは理想論じゃ。元禄の頃には荻生徂徠が『政談』