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ちけむりてんめいじん

血煙天明陣

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《血煙天明陣(ちけむりてんめいじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 191,184 字 · 379 頁

青空文庫

十

……そち一人に討てるほどなら、何んでわれわれ今日まで、彼を安穏に捨てて置こうぞ」

冬次郎は少しく苦々しそうにいった。

しかし郡兵衛は驚かなかった。

「こう見えましても私は甲州の浪人にござります」

「うむ、そんなことをいつぞや聞いた」

「祖先は甲陽二十四将の一人、高阪弾正にござります」

「高阪の姓、そこから来ているか」

「これは自慢にはなりませぬが、私血統より慶長年間、高阪甚内と申す賊、三甚内の一人として出で忍の術もて横行いたしました」

「剣道は宮本武蔵より学び、無双の使い手であったそうだの」

「この私におきましても、いささか忍術を使いまする」

「これは初耳、そうであったか」

「甲州流の兵学に、伝授番外といたしまして、蜈蚣衆忍術のありますこと、殿にもご承知と存じまするが」

「蜈蚣衆のことなら存じおる。戦時にありては物見使番、平時にありては細作となって、敵国に潜入、隠密をつとめ、腕を揮ったということじゃ」

「蜈蚣衆を創始いたしましたは、真田幸隆にござりまするが、指揮して縦横に使いましたは、高阪弾正にござります」

「うむ、そちの祖先であったか」

「蜈蚣衆忍術の奥義書なども、わが家に伝わりおりまする。