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ちけむりてんめいじん

血煙天明陣

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《血煙天明陣(ちけむりてんめいじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 191,184 字 · 379 頁

青空文庫

提灯の火に道を照らし、家々の門をぼんやりと明るめ、駕籠は先へ進んで行った。

神田の方へ行くのである。

右の方へ曲がったとたん、またも五人ほどの覆面の武士が、酔っているような足どりをして、よろめくように寄って来たが、駕籠脇の熊太郎の姿を見ると、ギョッとしたように一斉に反れた。

そうして行き過ぎた駕籠を見たが、

「大変な奴がついているな」

「神楽坂の先生と来た」

「鬼戸ヶ崎か、こいつ敵わぬ」

かたまって、佇んで囁き合った。

駕籠は先へ進んで行く。

行く手に辻のあるのを見て、熊太郎は駕籠を止めさせた。

それから辻まで小走って行き、右と左へ眼を配った。

闇ではあったが辻の左右に、相当多数の人間が、蠢いているのが感ぜられた。

駕籠の側へ帰って来た熊太郎は、駕籠の中の織江へいった。

「織江殿、どうやら田沼の手の者が駕籠につきましたようにござりますぞ」

「はい」

と織江は駕籠の中で、帰る時特に冬次郎から、手渡された長目の懐刀の柄を、砕かんばかりに握りしめたが、

「いずれそうあろうと存じました。……」

おちついた声でそういった。

「妾、覚悟をいたしおります」

「おい外伝。……これ新助。