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はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
線上閱讀佐々木 味津三《旗本退屈男(はたもとたいくつおとこ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 240,656 字 · 478 頁
が過ぎるように思われますが、然るにも拘わらず、三百諸侯八万騎の直参旗本共が、おのれらよりも畜生を上座に坐らせられて、一向腹も立てず不平も言わないところが、どう見てもやはり元禄の泰平振りでした。
それもいく分気に入らないためもありましたが、刻限も少しおくれていましたので、退屈男はわざと旗本席をさけて、諸侯の陪臣共が見物を差し許されている一般席の、それもなるべく目立たないうしろへこっそりと席をとりました。
そのまにも試合は番組通りに開始されて、最初の十二番の槍術が滞りなく終ってから、呼びものの馬術にかかったのが丁度お午。これがやはり十二番あって、その中でも当日の白眉とされていた四頭立ての早駈けにとりかかったのが、かれこれ八ツ前でした。
乗り手は先ず第一に肥前家の臣で、大坪流の古高新兵衛。
第二には宇都宮藩士で、八条流の黒住団七。
第三には南部家の家臣で、上田流の兵藤十兵衛。
第四には加賀百万石の藩士で、荒木流の江田島勘介。
いずれもこれ等が、各流派々々の達人同士で、同じ早駈けは早駈けであっても、今の競馬とはいささか趣きを異にして、それぞれの流派々々に基づく奥儀振りを、将軍家御面前で名騎士達が駈け競うというのでしたから、なにさま当日第一の呼びものとなったのもゆえあることでしたが、やがてのことに試合始めの太鼓に