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はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
線上閱讀佐々木 味津三《旗本退屈男(はたもとたいくつおとこ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 240,656 字 · 478 頁
つれて、大坪流の古高新兵衛は逞しい黒鹿毛、八条流の黒住団七は連銭葦毛、上田流の兵藤十兵衛は剽悍な三歳栗毛、最後に荒木流の江田島勘介は、ひと際逞しい鼻白鹿毛に打跨りつつ、いずれも必勝の気をその眉宇にみなぎらして、ずらりそこに馬首を打ち揃えましたものでしたから、犬公方初め場内一統のものが、等しくどよめき立ったのは当然なことでした。
剣を取っては江戸御免の退屈男も、馬術はまた畠違いでしたから、ひと膝乗り出して京弥に囁きました。
「打ち見たところいずれも二十七八の若者揃いのようじゃが、こうしてみると一段とまた馬術も勇ましい事よ喃」
「御意にござります。中でも葦毛の黒住団七殿と、黒鹿毛の古高殿がひと際すぐれているように存じられますな」
「左様、あの両名の気組はなにか知らぬが少し殺気立っているようじゃな」
言っているとき、場内の者が一斉にざわめき立ったので、ふと、目を転ずると、これ迄はどこにひとりも女性の影すら見えなかったのに、今となって、どうしたと言うのであろう?――大奥付の腰元らしい者は者でしたが、ようよう二十になるやならずの、目ざめるばかりの美形がいち人、突如として正面お座席近くに姿をみせて、文字通り万緑叢中紅一点のあでやかさを添えましたので、いぶかしさに打たれながら主水之介も目を瞠っていると、四人の騎士がさらに奇態