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しゅくず

現代日本文学館8 徳田秋声

徳田 秋声

線上閱讀徳田 秋声《現代日本文学館8 徳田秋声(しゅくず)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 327,364 字 · 638 頁

青空文庫

もちろん彼女はいつも贅沢をするとも決まってないので、本当に頭脳の好い主婦だという感じのする場合もあったが、世帯は世帯として、とかく金のかかるように出来ていた。メイ・牛山あたりで買って来る化粧品だって、相当のものであった。たまにはいくら庸三が補助するにしても、いつかは破綻が来るに決まっていた。

しかし葉子は、今までの生活を清算して、そこで真剣にみっちり勉強するつもりであった。瑠美子を人にあずけておいても気がかりなので、それも手元に置きたかった。移るについて、母親からいくらか金を送ってもらっていた。母はまだまだ葉子を見棄ててはいなかった。

庸三は折鞄をさげて、ぶらりと家を出た。そしてタキシイで東京駅へ乗りつけたが、海岸の駅へ着いたころには、永くなった晩春の日もすでに暮れかけていた。

タキシイで通る海岸の町は閑寂したもので、日暮れの風もしっとりと侘しかった。庸三は何かしら悪い予感もあったが、しばしばのゴシップに怖じ気もついていたので、とかく落ち着けない気分だった。葉子は珍らしく、家へ帰るとすぐ鱗型の銘仙の不断着に着かえ、髪も乱れたままで、ホテルの傍にある肴屋や、少し離れたところにある八百屋へ、女中のお八重をつれて買い出しに行ったりして、晩飯の支度に働いた。