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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
線上閱讀徳田 秋声《現代日本文学館8 徳田秋声(しゅくず)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 327,364 字 · 638 頁
庸三は呆気に取られて見ていたが、彼女はそれでも飽き足らず、上へあがってマッチを取ると、再び庭へおりて火をつけはじめた。白い煙をげて浴衣はめらめらと燃えて行ったが、燃えのこりの部分の燻っているのを、さらに棒片で掻きたてていた。
終いに葉子は少し空虚を感じ始めて来たものらしく、そっと灰を掻きあつめてから、すごすご縁へ上がって来た。
「私が先生を取るなんて、貴女も随分妄想家ね。」
どこかでそう言って喋っている小夜子のちらちらする目が、庸三の頭に浮かんで来た。
しかし五六日もいると、この生活もやがて慵くなって来た。可憐な暴君である葉子のとげとげしい神経に触れることも厭わしかった。それでいて彼はやっぱり彼女の黒い目や、惑わしい曲線の美しさをもった頬や、日本画風の繊細な感じに富んだ手や脚に惑溺していた。商売人あがりの小夜子には求められない魅力を惜しまないわけに行かなかった。嫌悪と愛執との交錯した、悲痛な思いに引き摺られていた。時はすでに遠く過ぎ去っていることも解っていたが、それだけに低徊の情も断ち切りがたいものであった。
それなのに庸三はしばしば飽満の情に疲れて、救いの第三者の現われることを希った。