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しゅくず

現代日本文学館8 徳田秋声

徳田 秋声

線上閱讀徳田 秋声《現代日本文学館8 徳田秋声(しゅくず)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 327,364 字 · 638 頁

青空文庫

自分の友達であると葉子の友達であるとにかかわらず、話相手の若い人や女性の座にいるときが望ましかった。そうした場合庸三はいつも無口で、葉子が客の朗らかな談敵になるのであったが、差向いの時よりも、その方がかえって庸三の神経に、いくらかの余裕と和みが与えられるのであった。二人きりの部屋が息詰まるように退屈になって来ると、彼はまた環境の変化を求めないわけにいかなかった。綺麗な風呂場や化粧室などの設備のあるところとか、日本風の落着きのいい部屋や庭のあるところとか、世間から隔絶されたひそやかな場所に潜んでいることが、家庭人であった彼の習性をすっかり変えてしまっていた。寄り場のない霊を、彼は辛うじてその刹那々々の宿りに落ちつけようとしたが、それは単に気分の一時の変化を楽しむだけで、どこへ行っても寂寥が彼を待っているにすぎなかった。

あるときも、体の縮まるような渋谷の葉子の家を脱れて、市外のそうした家の一つにいた。渋谷からそう遠くもなかったし、二三回来たこともあって、葉子をひどく好いている女中とも馴染になっていた。

ある涼しい夕ベ、その部屋に閉じ籠められていることに、ようやく憂鬱を感じはじめていたところで、葉子の充ち足りない気分がまたしても険しくなって来た。