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しほんたいへいき

私本太平記(四)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(四)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 229,324 字 · 458 頁

青空文庫

それも、そっとの催しで、微行の吉田大納言は、次の日、さっそく、京へ帰って行った。

冬ざれが来た。

こがらし、冬の海鳴り。それさえ長くて、高時はたまらなく嫌いなのに、ほかの人間がみな、狂気に見えてくるような、明けても暮れてもの、戦ばなしだ。

「十二月だぞ」

高時は、つまらない。

「すぐ初春だわ。春となっても、闘犬は見られんのか。踊りも踊れまいか。……いったい、いつまで軍勢を送りつづけるのだ」

戦時下が窮屈で、またこの人には、退屈なのだ。

ひょこと、評定所だの政所にあらわれては、そこの引付衆や重臣をみて喞つ。

ここといい、武者所といい、見馴れた顔は、めっきりと減っていた。一方の大将として次々に出征したのだ。それにつれ、鎌倉中の人口の潮位も激減していよう。

「いや、まだまだ、足りるどころではございませぬ」

居合せた佐介上総介が答えていう。

「――初春には、なお第三陣、四陣のご軍勢をも、徴することになりましょう」

「途方もない。どうして、そう底抜けに、兵力が必要なのか」

「簿の上では、充分なはずですが、まま、令に応じぬ大名が、なかなか、動かぬためでございます」

「応じない大名がある?」