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しほんたいへいき

私本太平記(四)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(四)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 229,324 字 · 458 頁

青空文庫

守兵は、郷士山僧などの混成で、ほぼ千早城と同数ぐらいはいたのであるが、すべてその用兵から作戦まで、正成のようにはゆかない。

かつ、吉野城そのものは、吉野の愛染宝塔を軍寨化して、衆徒の輿論もふんぷんのなかに築かれたものだけに、たちまち内部の裏切り者が、その序戦から寄手に通じていたのであった。

吉野山も嶮である。

ふもとの吉野川から山上の愛染宝塔のとりでまでの間には、いくたの防塁もあったことだし、寄手の大兵も七、八日はいたるところで苦戦だった。

ところが。

山中の新熊野院の首座、岩菊丸という僧が、反大塔ノ宮の衆徒をかたらい、寄手に通じて山案内を買ッて出た。

むかし、文治の頃。

源ノ義経が吉野へのがれて来たときにも、妙覚院の主僧、横川ノ覚範が、鎌倉の恩賞に欲心をおこして、義経を追いおとしたことがある。

それと似たものが岩菊丸であった。守兵の内情には通じているし、地理にもくわしい。――彼の手びきで、寄手の潜兵は、峰の奥深くへ廻って、ふいに愛染宝塔の虚をつき、うしろの高城、詰城まで焼きはらった。

宮は、前線の蔵王堂に陣座していたが、後方、はるかな本塁の黒けむりをみて、