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しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(四)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 229,324 字 · 458 頁
「師直、今日まで、ずいぶん種々なお人の、饗応役も仕ったが、こよいほど、おもしろかったことはおざらん……。で、ちとどうも、食べ酔い気味で」
「さすが狒々もか」
「……が、こうして、馬の口輪にぶら下がって歩けば、足もとも心配なく、馬がどこへか連れて行ってくれましょう」
「無礼者、吠えづらかくな。いつ馬の腹へ踵をくれて、急に飛ばすかわからんぞ」
「どっこい」
師直はあざ笑いながら、馬上の影を振り仰いだ。その白眼は「なんたる凄い眼の男か」と思わせた。
「やって御覧じ。武蔵守師直が、こう抑えた馬の口輪、びくとも動かすものですか。はははは」
「それ、溝川だぞ。陥るな」
「だいじょうぶ。馬の方が悧巧でおざる。さては鵺殿には、まだ酔い足らんな。これで立ち帰っては、主人高氏どのへの話もおもしろくない。はて残念な」
「今日のことはみな、高氏のさしずだったか」
「何の、師直が一存でおざる。自体、わが殿は、おとなし過ぎる。さればこそ、伊吹の鵺殿ごときに嬲らるる。それを無念と存じ、今日のご接待役、この師直が、あえて買って出た次第でおざる。ゆめ、わが殿へ遺恨をおふくみ下さるるな」
「いや高氏の腹は汲めた。