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ちけむりてんめいじん

血煙天明陣

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《血煙天明陣(ちけむりてんめいじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 191,184 字 · 379 頁

青空文庫

「殺してはならぬと仰せられるか!」

「いや……しかし……殺すお気か?」

「災いの根なら……」

「凄いのう」

「刈り取るまでよ!」

「あったら女を……」

「貴殿欲しいか?」

「バ、馬鹿な!」

「でもあるまい」

「ひとの女房を……」

「遠慮する柄か!」

「…………」

この時又助が言葉を入れた。

「女を殺す、ちとよくない。わしもそれには同意せぬの」

九十郎は荒々しい眼で、今度は又助を睨むように見た。

「織江とかいう女、助けたがよろしい」

「…………」

「売かして、金にして、飲むとはどうだ」

「貴殿たちにはよろしかろう」

「貴殿も飲むのじゃ、三人で飲むのじゃ」

「飲む飲まぬ、何を痴言、息ある限りあの女、拙者を狙うことご存知ないか!」

「ナールほど、そうだったのう」

燈火がともされる時刻となった。

脇本陣楢屋の奥の座敷では、冬次郎が熊太郎を相手にし、わざと婢の酌をことわり、勘助や清三郎に酌をさせ、酒汲み交わし話していた。

「田沼の没落も遠くない。……彼奴この頃御殿への出仕を、いたさぬという噂を聞いた」

冬次郎はそういって会心そうに笑った。

「将軍家のお覚えめでたくなくなり、田沼の施政徐々に廃され、諸閣老方擡頭し参られ、ご親藩三家や越中守様たち、いよいよ手強く田沼に抗し、それに彼奴の忰意知めを刺殺した、佐野善左衛門に類するところの、硬骨多血の近侍の武士、近来