輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
線上閱讀国枝 史郎《血煙天明陣(ちけむりてんめいじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 191,184 字 · 379 頁
強請かたりに似たようなことを、二、三の悪友と組んでやって、今日まで食いつないで来たのであったが、それも最近いきついてしまった。やぶれかぶれのクソ度胸! それでいよいよお浦をかせに、田沼様に強談しようものと、このうちこわしの夜に出て来たのであった。
(衆怨の府の田沼様だ、こういううちこわしのある夜などは、どこへも出ずに屋敷にいて、多少恐怖も感じていよう。そこを狙って……)と出て来たのであった。
旧田沼様の家臣の彼は、下屋敷の案内も知っていた。
(この辺がよかろう)と土塀の上を睨んだ。植え込みが内側から枝を差し出し、その影で土塀は暗かった。お浦を小脇に抱え込み、土塀にピッタリ寄ったと見るや、武術には無双に精妙の彼、軽々と土塀の頂きまで飛び、一瞬内側を見下ろしたが、ヒラリとばかりに飛び下りた。
佇んで様子を窺った。
それから先へソロソロと進んだ。
(阿蘭陀物で飾られた、いつものお部屋にいることであろう)
こう思って九十郎はそっちへ進んだ。
森閑として人気なく、幾棟か立っている高楼や、それを繋いでいる幾筋かの廊下や、それを囲繞した植え込みや、その間にともされた石燈籠や、泉水や築山や亭や橋や――下屋敷の様は昔のままであった。