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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控 猿回し

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控 猿回し(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 125,671 字 · 252 頁

青空文庫

一応の挨拶をして、平次は灯をつけて貰って、下男勇太郎の死骸を調べました。

無残なことに、大臼は顔の下半分から首筋を潰して、恐らく一と思いにやられたことでしょう。瞬時の苦痛が、よく肥った顔に凝集して、その凄まじさはまた格別です。

着物は確かに寝巻、それに袢纏を引っかけて、一度寝たのが、又何んかの用事で起出したという恰好です。

「八、この死骸を、お医者が見たといったね」

平次は妙なことを訊ねます。

「診ましたよ。でも青山一番の幇間医者で、診立てよりは、仲人の方が上手だそうで」

「丁寧に診たのか」

「いえ、入口に立って中をすかして――やれやれこれはもういけない――などと言って帰ったそうで」

「それじゃ、若旦那」

「へェ」

平次は久太郎に声を掛けました。

「もう一度、他のお医者に診せて下さい。百人町には、石順先生という、外科の名医が居る筈だ」

「へェ、直ぐ宗之助をやりましょう」

久太郎は小僧の宗之助を呼び出すと、何やら言いつけて走らせました。

「何んか、変なことがあるんですか、親分」

八五郎はうさんらしい鼻を持って来ました。平次の気組には、唯ならぬものがあったのです。

「大あたりだよ。