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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Read 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 188,242 characters · 380 screens
そうしてその眼は切れ長であったが、気味の悪い三白眼で、絶えず瞳の半分が上瞼に隠されている。
戦国時代の武士としてはむしろ小さかったが、クリクリと肥えていてさわらば物を刎ね返しそうである。弾力に富んでいるのであった。
お館の西側をグルリと廻わり跡部大炊の邸へ出、それを北へドンドン行くと突き当たったところに小山田邸、ここが条坊の外れである。
「さて、どっちへ行ったものかな」
甚太郎はしばらく考えたが、「こんな時には、棹占い、それがいい」
ポンポンと黐棹を往来へ立てた。
「おや、東南へ転びやがった。……東南といえば富士の方角、よしよしそれじゃ富士へ行こう」
きわめて簡単なものである。長い黐棹を肩に担ぎ、
いざ鳥刺が参って候
鳥はいぬかや大鳥は
ハアほいのホイ
当時流行った鳥刺唄。それを唄って元気よく、鍛冶屋街道を富士へ向けノッソリノッソリ歩き出した。
「へ、それにしてもとんだ身の上を。身を変えての追手役、召し捕る相手は俺の従兄、古い物語にでもありそうだ。それにしても信玄公、内の親玉は皮肉だね。去年の五月、端午の節句、楯無しの鎧を盗んだような、あの素晴らしい機智をもって召し捕って参れと云うのだからな。