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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Read 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 188,242 characters · 380 screens
二
「卜伝、どうして手に入れたな?」
「殿、どうして手に入れられました?」
「馬一頭、太刀二振り、それでようやく手に入れたそうな」
「ははあ、お前様のご家来がな」
「うん、甘糟備後がな」
「私は自身手に入れました」卜伝はグッと眼を据えたが、
「一刀に斬って捨てましてな!」
「無慈悲な男だ。殺さずともいいに」
「世のためでござる。殺した方がよい」
「さては薬売りは悪人だったと見える」
「悪魔の手下でございます」
「魔王は誰だ? 知っているかな?」
「申すまでもない、製薬主!」
「いかにもな。いかにもな」
「起死回生、神変不思議、効験いやちこのこれほどの名薬、神の手では作れない」
「いかにもな、いかにもな」
「魔王一人、作ることを得ます」
「俺もそう思う、悪魔の業だ」
「悪魔の業でございます」
二
「心あたりは? 心あたりはないか?」
謙信は一膝膝を進めた。
「まず第一が、甲州弁……」
「甲州弁とな? 薬売りがか?」
「脱疽のために左の腕が、肩から千切れた薬売り! 愚老が手に掛けた薬売り! 甲州弁にございました」
「甘糟の逢った薬売りは、片足なかったということだ」
「脱疽でござる。脱疽に相違ない」
「さては薬売りは多人数と見える」